青色事業専従者給与とは

個人事業主と生計を一にする親族がその事業に従事している場合、個人事業主が親族に支払った給与は、原則として必要経費として認められません。

しかしながら、一定の要件を満たす場合には、白色申告の場合には事業専従者控除、青色申告の場合には青色事業専従者給与として、給与相当額を必要経費に算入することができます

事業専従者控除は給与の実額を必要経費に算入するのではなく、金額が固定化されています。そのうえ、最大で86万円までしか控除できません。

その点、青色事業専従者給与は予め定めた給与額を越えなければ、必要経費に算入できます。ただし、過大な給与と判断される場合には、過大部分は必要経費になりません。

青色事業専従者給与を支払うことで、個人事業主と親族で所得が分散することとなり、全体の納税額を抑えることができます。ただし、親族が給与をもらうことによって社会保険料の支払いが発生する場合もありますので、もし給与を支払うのであれば全体で判断する必要があります。

青色事業専従者給与が認められる要件とは

青色事業専従者給与の制度は、親族に給与を支払うことで、必要経費として認められるというものなので、労働の実態がないのに給与が支払われることなどを防止するために、下記のような要件が付されています。

  1. 個人事業主が青色申告者であること
  2. 給与を支払う対象が青色事業専従者の要件を満たすこと
  3. 「青色事業専従者給与に関する届出書」を期限内に提出すること
  4. 支払う給与の額が届出書に記載した範囲内であること
  5. 金額が過大でないこと

青色事業専従者給与を適用するために必要な要件の詳細については、下記の記事をご覧ください。

青色事業専従者給与で節税効果を得るためには

青色事業専従者給与に関する届出書の書き方

①納税地

自宅で事業を行う場合には、住所地を記載してください。事務所や店舗が自宅と別にある場合には、事務所等の住所を書いてください。

②納税地管轄の税務署を調べる

届出書や確定申告書は納税地の管轄の税務署に提出する必要があります。ご自身の納税地の税務署が分からない方は国税庁HPをご覧ください。

国税庁HP: 税務署の所在地などを知りたい方

管轄の税務署を確認したら、届出書の左上の提出左記欄に「○○税務署長」の○○のところに税務署名を記載ください。

③上記以外の住所地・事業所等

自宅で事業を行う場合には、記載は不要です。納税地を事務所や店舗の所在地とした場合には、自宅の住所を記載してください。

④職業

開業届に記載したものをご記載ください。

事業の事業の種類を記載してください。事業の種類は事業税の税率にも関係しますので、事業税の法定業種を参考に記載すると良いかもしれません。

都税事務所HP:法定業種と税率

⑤屋号

開業届に記載したものをご記載ください。

屋号を決めている方は、屋号を記載してください。屋号は自由に決定することが出来ますが、自分の屋号が類似業種・近所にある別の事業者と似ているとトラブルになる可能性もあります。Googleで検索するなどして、自分の使いたい屋号が使われていないかを確認しておいてください。

また、屋号がなければダメというわけでもありませんので、ご自身の名前でご商売される方は空欄で提出してください。たとえば、スポーツトレーナーや演奏家、講演者の方の場合、屋号がない場合も多いと思います。

⑥年度

開業届青色申告承認申請書と同時に提出する場合には、開業する年を記載ください。

そうでない場合には、青色申告承認申請および青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限に応じて、適用可能な年・月をご記載ください。

⑦青色事業専従者給与

(出典) https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/13_14.pdf

「仕事の内容・従事の程度」は給料・賞与の金額が適正かどうかの判断材料の一つになりますので、具体的な作業内容と稼働の程度がわかるように記載したほうが良いかと思います。従事の程度に時間・稼働日数を記載した場合には、時給が計算できますから、時給が常識的な給与であるかどうかをご確認ください。

専従者に給与を支給の際には届出書に記載した給料・賞与の額の範囲内でお願いします。給料の額を増額する場合は、翌年から変更可能です。変更するためには、原則として翌年3月15日までに変更届出書を提出する必要があります。

さらに、専従者が他に職業を有している場合や就学している場合には「その他参考事項」の欄に、会社名・役職や学校名を記載することとされています。

原則として、他に職業を有している者は、専従者として認められないとされています。しかしながら、その「他の職業」に従事する時間が短いと認められる場合には、専従者として認められることとなっています。その判断のために記載が求められているものと考えられます。

⑧使用人の給与

使用人全員を記載する必要はありません。使用人のうち専従者の行う業務と同じような業務を行う人の情報を記載ください。

税務署への提出方法

書面を印刷して税務署に持参又は郵送することが一番早いです。電子申告も可能ですが、届出書の場合、事前準備が非常に面倒くさいので、さっさと書面で出してしまいましょう。

この記事では、国税庁のPDFを印刷して記入した場合を前提に解説します。

国税庁HP:[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続

①国税庁PDFの印刷
青色事業専従者給与に関する届出書の国税庁PDFは、開業届と異なり、控用が用意されていません。したがって、同じものを2枚印刷します。控えとする方の申請書右上に「控」と大きめの字で手書きしてください。
②押印
氏名欄に押印欄がありますので、提出用と控用の両方に認印を押して下さい。
③提出
税務署に持参する場合には、提出用の窓口に行き、提出用と控用の両方を提出してください。収受印を押されて控用を返却されます。
郵送する場合には、提出用と控用と返送用封筒を封入して、税務署宛に郵便でお送りください。返送用封筒に宛先にご自身の住所を記載することと切手を貼ることをお忘れなく。なお、提出用も返送用いずれにおいてもレターパックで提出可能です。

おわりに

今回は青色事業専従者給与に関する届出書の留意点について解説しました。

提出の際には、届出書の提出期限と、記載した額の範囲内で給与を支給することに特にお気を付けください。

上手く制度を利用し、節税効果を実現させてください。

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