所得の種類

所得税の確定申告について考える最初の入り口は、所得の種類です。

所得税は収入の性質によって10種類に分類され、所得の種類ごとに計算方法や取扱いが異なります。弁護士の方は、事業所得、給与所得、雑所得の取扱いを確認することがメインとなります。

給与所得

給与所得は、役員や従業員として勤務している先から受ける給料・賞与などの所得をいいます(所得税法第28条第1項)。

所属事務所からの給与賞与、自治体主催の法律相談の報酬、事業会社の社外役員に係る役員報酬などは給与所得に該当すると考えられます。

給与所得は、通常、年末に源泉徴収票をもらうことができます。確定申告が必要な場合には、その源泉徴収票に記載の情報を確定申告書に転記することとなります。確定申告書に転記する際には、社会保険料控除や源泉徴収額を転記し忘れないようにしてください。控除を取り損ねると、税金を多く払うこととなり、損します。

事業所得と雑所得の違い

基本的に弁護士業の収入は事業所得

事業所得は所得税法施行令第63条各号に挙げられる事業と定められており、中でも「対価を得て継続的に行なう事業」に該当するかどうかが問題となります。

弁護士業務で得た収入は基本的に事業所得に該当すると考えられます。たとえば、個人受任の案件に係る報酬、顧問料、国選弁護人報酬など。弁護士個人で受ける報酬のほとんどが事業所得に該当すると考えられます。

講演料や原稿料の取扱い

講演料や原稿料は、通常、雑所得に該当する収入です。しかし、弁護士業務に付随して行う講演や出版は、弁護士業の一環として行われているものと解され、事業所得に含めるものと解されています(国税不服審判所裁決平15.3.11裁決事例集65、P.103)。

たとえば、法律関係の講演料、書籍や記事の原稿料であれば事業所得に含めますが、趣味の釣りの記事の原稿料や母校に招かれて記念講演を行った場合の謝礼金等は雑所得に該当するのではないかと考えられます(このあたりの判断は事情や金額でケースバイケースなので、一律的な判断はできません。個別の事例についてはご相談ください)。

給与所得と事業所得の両方を稼得する場合

売上-経費=所得ですので、場合によっては事業所得や雑所得がマイナスになることがあります。

事業所得がマイナスの場合、給与所得と通算して申告することで、還付を受けることができます。一方、雑所得がマイナスの場合には給与所得と通算することはできませんので、還付を受けることができません。

給与所得が大きく、事業所得が赤字である場合、事業所得として申告した所得が雑所得に該当するのではないかと税務署から指摘される可能性があります。というのも、節税目的のために、多額の給与所得がある納税者が赤字の事業所得があると申告して還付金を受けるという事例があったためです。その事業所得には実態がないケースや事業所得ではなく雑所得に該当するケースがあったことから、赤字となった事業所得は事業所得の定義に含まれるものかどうかを論点としてくる場合があります。

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